昨日、私は海野真矢に告白した。


「行ってきます」
いつもと同じ時間に家を出る。
自転車通学だったが、最近徒歩通学に変えた。
理由は学校へと続く坂を自転車で登れなくなったから。
前まではなんともなかったのに、急に登れなくなってしまった。
「……体力とか、つけたほうがいいのかなぁ」
2学期になったばかりで、夏休みは家に居ることが多かったからかなとか自分で推測してみる。
今度、病院で先生に聞いてみよう。


「おはよー、あやっ」
「あ、おはよう」
玄関で靴を履き替えてるところ、幼馴染の赤坂玲子に声をかけられた。
「でさでさ、昨日はどうだったの?」
耳元でぼそっと呟いてくる。
「……ん、返答待ち」
「なーんだ、つまんないのー」
ちぇっ、と舌打ちして素早く靴を履き替えると、玲子はさっさと行ってしまった。

「はぁ……はぁ……」
息が途切れ途切れで、苦しい。
「……大丈夫?」
「う、うん……」
私たちの教室は3階にある。
そこまで登るわけだが、これが辛い。
最近は階段を登るだけで息切れする。
「やっぱりさ、おかしいよ……本当に大丈夫なの?」
「……わかんない、次の定期検診で相談してみる」
教室の扉を開け、窓側の一番奥の席を見る。
海野君が、机で寝ている……と、思ったらこっちを一瞬見てまたうつむいてしまった。
昨日の今日だし、やっぱり喋りかけにくいのかな……
「電話とか、した方がいいんじゃないの?」
「うーん……でも先生に心配かけたくないから」
そういって、自分の席に着きながら私は笑った。
強がりで、無茶をしているだけなのに。


それからは特に体調が悪くなることもなく普通だった。
体育はいつも通り見学だったけど……
海野君は、私を意識しないようにしてるみたい。
授業が終わるとすぐに教室を出て行ったり、なるべく離れたところで友達と話していたり。
……考えすぎ、かな。
「……あや?」
「はぇっ!?……え?な、なに?」
急に玲子に話かけられてびくっとする。
「なんかぼけーっとしてるし……全然食べてないじゃない、本当に大丈夫なの?」
ぼけっとしてるのは……考え事してるからだけど。
食欲がないのはどうしてだろう、何故かあんまり食べる気になれない。
「ダイエット、ってわけでもないよね?」
「うん、なんか食欲がないだけ……」
お母さんには悪いけど、今日もお弁当残そう……
「……それでさ、海野の方はどうなの?脈ありぃ?」
気遣ってくれてか、話題を変えてくれる玲子。
深入りした心配をしてくれるよりはこっちも楽だ。
玲子はそれを分かってくれている。
「わかんない……けど、ダメだと思うよ。
 私なんか……ね」
「もう、弱音吐かないのっ。
 それに私なんか……ってのは禁止って前にも言ったでしょ?」
でこぴんを一発お見舞いされる。
……普通に痛いよ、玲子。
「あはは、そうだね……
 もっと自分に、自信もたなきゃだよね」
「うんうん、きっと海野もオーケー出すよ。
 いや、出さなきゃ私がぶっ飛ばす!」
それは、ダメだよ……




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