桜美と僕が付き合い始めて1週間ほどが過ぎた。

特に変わったこともない、楽しい日々が続いた。
最初は冷やかし続けたクラスメイトたちもいい加減に飽きたのか、しつこく冷やかすヤツは居なくなっていた。
そして今日も、何事もない日々が過ぎてゆく。


「オラァッ!パスまわせー!」
「山田ァー!走れー!」
……皆気合入ってるなぁ。
今日の体育は、2組との合同授業だ。
内容はクラス対抗サッカーと来たもんだ、いつもと気合の入り方が違う。
「どけどけどけどけぇぇぇ!孝也様のお通りだぁぁぁぁっ!」
雄たけびをあげる孝也。
運動神経はバツグンだからなぁ……
誰一人孝也を止めることは出来ない。
皆もそうだが、女子たちの声援も凄い。
2組にイケメンが居るとかどうとか……
自分たちもバスケットの試合のはずなのに、いつの間にか体育館の2階の窓に皆張り付いていた。
……と、ふと眼に留まった一人の女子。
「……桜美」
やっぱり、女の子だし気になるのか……
試合中なのに、嫉妬してみたりする。
ダメだ、今は試合に集中しよう……
「真矢!あぶねーって!」
「は?」
顔に鋭い痛みが走った。
しまった、と思ったときにはもう遅い。
そのまま後ろへ倒れこむ。
皆が駆け寄ってきて、僕の顔を覗き込む。
ああ――ボーっとしてて気づくのが、遅かった。
意識……が……


次に気がついたときは、ベッドの上だった。
「なんだ、やっとお目覚めか」
「……孝也?」
隣には孝也が体操着のままで、椅子に腰掛けていた。
「軽い脳震盪だとさ、ぼーっとしてるからだバカ」
「お前にバカって言われるなんて、僕も落ちたもんだ」
「それだけ無駄口叩けるなら大丈夫だな」
あれからすぐに保健室へ運んできてくれたそうだ。
保険の先生は出張中なので、わざわざ職員室まで鍵に取りにまで行ってくれたらしい。
「お、チャイムが鳴った。
 これで体育の授業は終わりだな」
「……ちゃっかりサボりか」
「おう、当たり前だろ」
じゃあしばらく寝てろ、と言い捨てて孝也は保健室から出て行った。
「はぁ、女子軍の目の前で脳震盪とは情けない」
思わずため息が出る。
おまけに桜美も見てたと思うと恥ずかしくてしょうがない。
いや、今はそういうこと考えずに寝よう……
……もちろん、ちゃっかり次の時間はサボろう。




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