1999年、『ラヴォス』死す。
平和は、世界を恐怖に陥れた『ラヴォス』の消滅と共に訪れたのであった。
何故消滅したのか、今となっては誰も知るよしもない。
相当な情報の隠蔽がされていたのか、何一つ記録が残っていない。
時空を越え戦った、勇者たちの存在も。

――それから百十数年。
文明は急速に発展していった。
街には機械が溢れ、耐えない戦争が起こり、核問題だと騒ぐ時代。
ネットワークの構築も進んだ。
家庭に一台、端末がある時代が到来した。

そして――

2124年、ネット世界が統合され虚現世界が創造された。
虚現世界――Virtual Image Peace World
通称『VIPWorld』と呼ばれるソレは、人間の歴史の大革命であった。
創造したのは、各先進国のTOPクラスの技術者たちの集まり。
『VIPWorld』管理会社、U.W.F.C.である。


VIPWorldへダイブするには、そんなに難しくない講習やテストを3日ほど受けるほどで終了する。
テストを合格しダイブすることが出来る人たちを『VIPPER』と呼ぶ。
保護者が付き添うならば6歳から、12歳からなら一人でのダイブが認められる。
合格すると貰えるIDカードを持って、世界中どこにでもあるダイブセンターへと足を運べばすぐにでもVIPWorldへダイブ出来る。
職員にカードを見せ、機械で更にIDを認識させる。
すると、とたんに『肉体の電子データ化』が行われ、VIPWorldへ転送される。
転送された肉体データは再構築され、行動が出来るようになる。
姿形は勿論、声までが現実世界のモノと同じ状態で転送される。
ただし、専用アプリケーションの仕様である程度の肉体改造の許可はされている。
例え現実世界で体が不自由でも、アプリケーションを使えば通常と同じように行動が出来るのだ。
名前もIDカード発行時に登録すれば、偽名――ハンドルネームを使うことが許されている。
無論、発表後すぐダイブ資格を得ようとする人が殺到した。
あっという間に世界全国に広まり、今では人口の80%以上はVIPPERであるとされている。

U.W.F.C.管理の下、今日もVIPWorldの歯車は静かに廻り続ける。
それはまるで永久機関、終わることのない平和の象徴。
――だが、永久機関などは存在し得ないのだ。



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